花は野にあるように
「欲しいのは、時間だけ?」


リョクが僕を抱く腕に、力を込めながら囁く。


「ホントはもっと、こーゆう刺激が欲しいんじゃねぇの?」


ぎゅうっと抱き締められて、息まで出来なくなりそうな僕の首元に、リョクの熱い吐息がかかる。


「んんっ!」


それだけで目尻に涙がにじむぐらいに、僕の身体がぞわぞわとした感覚に激しく反応する。


「身体の方が正直だな。」


くす、と笑ってリョクは言った。


「やっ……っ!」


どうして、そんな意地悪な事言うの?


僕はこんなに。



自分が怖いのに。
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