花は野にあるように
だけど、リョクに伝えたい言葉はちゃんと言わないと、ね。


「あの……あのね。」


リョクを見上げながら僕は一生懸命に言った。


「昨日は本当にありがとう。」


『昨日』の言葉に、色々なことを思い出してしまって、少し顔が熱くなるけど。


「リョクが居てくれてなかったら、僕は………。」


今朝、こうやっていつも通りに振る舞うことも出来ない事になっていたかもしれない。


「……わざわざ、礼を言われる程の事じゃないさ。」


リョクはそう言った。


「俺は、お前を護ると誓ったんだからな。」


優しくそんな言葉をくれるリョクに。


僕は強く抱きつくぐらいしか。


泣き出さないで気持ちを伝える術を知らなかった。
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