花は野にあるように
お弁当を食べおわっていたリョクは、なんだか大きな猫みたいに伸びをした後、欠伸をしながら言った。


「んー。そうだなー。山にもぼちぼち桜の季節がくるなぁ。養蜂業者の北上も本州の真ん中越えたかな?」


まだ残っている僕のお弁当をちらりと見るリョクに、僕は笑いながら、少し多かったかなと思い始めていた卵焼きを差し出した。


「良かったら、食べて。少し多いみたい。」


遠慮しようとしていたリョクは、僕の言葉を本当かどうか確かめるように僕を覗き込んだ後、ぱくりと大きな口を開けて卵焼きを一口に飲み込んだ。
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