花は野にあるように
「あ、あの………。」


「リョクでいい。」


話し掛けようとして口籠もってしまった僕に、ぶっきらぼうにそう言うと、くるりと僕に背を向けた。


「え………?」


突然言われた言葉の意味がわからなくて、僕は戸惑う。


「名前。」


背中越しに僕を振り返って、短く言う。


「さっきから、呼びたいのに何て呼んだら良いかわからないって表情してた。」


そんな風に言われて、僕は驚いた。


確かに、そう思っていたけど………



どうしてわかっちゃったんだろう。
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