花は野にあるように
「デザイナーがパターンを寄越さない以上、制服は出来上がらないじゃねぇか。
それを、おれの所為にするのはお門違いってやつじゃないか?」


……リョクの声だっ!


声が聞こえただけで、トクン、となる胸を押さえて僕は声の聞こえて来た方向を探した。


「その口の聞き方も感心しませんね。
大体、制服がないならスーツででも来れば良いでしょうに、なぜわざわざ他校の古い制服を来てくる必要があるのですか。
全く、父親に似て常識のカケラもないこと。」


リョクに向かって言っているらしい、女の人の声も聞こえる。


そして、ふたりの声は細く開けられた茶道室から聞こえて来ているみたいだった。
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