花は野にあるように
ボンヤリと見上げる僕の頬でリョクの掌がペチンと高い音を立てた。


「痛いっ!」


鋭く走った痛みに、僕の口から悲鳴のような声がこぼれる。


「ミキッ!大丈夫かっ!」


心配そうな表情を浮かべながら僕を覗き込む、リョクの真剣なまなざしと頬の痛みが、僕にこれが現実だという事を告げている。


「リョク……?
え……ど……して?」


震える声で、僕はリョクに尋ねた。


「窓の外におまえの姿が見えた気がしたんだ。
そうしたら、急に倒れたように見えたから……。」


そこから飛び出して来たよ、とリョクは微笑んで言った。
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