花は野にあるように
ふるる、と首を振るとまたクラリとした感覚が僕を襲う。


「あ……。」


傾き掛けた僕の身体をリョクの腕が支えてくれて。


「どこか静かなトコで、ゆっくりした方がいいな。」


そう呟いてリョクは。


僕を横抱きに抱え上げた。


え?


急に抱き上げられて、僕はびっくりしながらリョクにしがみ付いたけど。


え……と。


「や………。お、下ろして。自分で歩けるよ。」


恥ずかしくてそういったのに、リョクは僕には優しく笑うだけで。


「話はまた今度なっ!」


そう、茶室に向かって言って。


僕を抱いたまま歩き出した。
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