花は野にあるように
「大丈夫か?」


庭園の遊歩道ぞいに置かれてある、青銅色をしたベンチの上に僕をそうっと寝かせるように下ろしてくれて、リョクは言った。


僕を覗き込みながら、前髪をかきあげてくれるリョクの掌の温度が気持ち良い。


その手が僕を撫でてくれていると、さっき身体の芯まで凍り付いたように感じた身体が、溶けだしていくような気がした。


「話………聞いちまってたんだ?」


ぽそり、と言ったリョクの言葉に反応して、僕の身体がビクッとこわばる。


そうだ。


リョク……さっきの話はホント………なの?
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