花は野にあるように
「やっぱ、聞いてたんだ。」


返事の代わりに態度で示した僕の額に小さくキスを落として、リョクは空いている手で僕の手を握りこんだ。


「俺がスカートやだから、このガッコ辞めてやるって言った格好悪いトコ見られちまったんだ。」


ベンチの横に膝立ちになったリョクは、抱き締めるように僕の頭を抱えて、耳元にそう言いながら、くす、と笑った。


「男子用じゃなきゃ、やだってガキの我儘だよな。」


そう言いながら撫でてくれる、リョクの掌のあたたかさが、却って僕には悲しく感じる。
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