花は野にあるように
「こんなキスをするような夢なんて見ないだろ?」


リョクの低い声がそう尋ねた時、僕はドキン、と心臓が跳ね上がって、返事も出来ないままリョクの視線から逃れるように顔を背けた。


「んん?
見た事あるんだ?」


くすり、と意地悪く笑ってリョクは言った。


「ミキ、やらしーんだ?」


そんな事を言って、今度は顔を背けている僕の耳元に口付けながら、首筋を撫で上げる。


「やっ……!」


「相手は?………俺?」


耳の中に注ぎ込むように、リョクが囁く。


僕はそれだけで、心臓の鼓動が倍ぐらいに跳ね上がっているように感じた。
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