花は野にあるように
「俺がホントにチカンだとしたら、襲われちまうぞ?」


ふいに笑うのを止めたリョクが真面目な顔で僕を上から覗き込む。


「貞操、奪われたいのか?」


マジな表情でそう聞かれて、僕はブンブンと頭を振って丁重に断った。


誰かを襲うのなんて、絶対無理な僕だけど、だからって襲われたい訳じゃないようっ!


「ぶはは。
………変な奴だな、お前は。」


さらに僕の頭をぐちゃぐちゃにかき回して、リョクは笑う。


「まぁ、でも、ここはいいトコロだな。
連れてきてくれてサンキュ。」


僕の隣に腰掛けて、長い足を投げ出したリョクはそう言いながら僕に笑顔をくれた。
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