花は野にあるように
「リョク………。」


「んん?」


ぎゅうぎゅうと教科書の間に無理矢理詰め込んでいるリョクを見兼ねて、僕は声を掛けた。


「女の子達からの気持ちがこもった手紙をそんな風に扱っちゃダメだよ。」


そう言いながら、リョクの手から手紙の束を取り上げた僕はきれいに揃えると、リョクのカバンから取り出したノートの間に手紙を挟み込んでカバンに戻した。


「おお。きれいに入った!」


わざとらしく言いながら、リョクは拍手の真似をする。
< 249 / 1,416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop