花は野にあるように
水紋の行方を目で追っているうちに、気分の落ち着いた僕はさっきと違う静かな声でリョクに尋ねた。


「何の理由もなく授業をさぼったり、学校の中でお酒を飲むなんて、リョクらしくないよ。」


水面を見ながら言った僕の言葉は、リョクの自嘲気味な笑いに迎えられた。


「俺らしい………ね。
あんな狭い部屋でつまんない授業っていう名前の壊れたビデオテープみたいなのを見てるよりも、ここでこうやっている方が余程俺らしいのかも知れないぜ?」
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