花は野にあるように
リョクはため息をつきながらそう言った。


「とりあえず……山歩き用の専用の服とか、下着とか……持ってなさそう……だよな?」


僕の事を上から下まで見た後、リョクは自分のおっきなリュックを地面の上に置いて。


中からきれいにたたまれていたシャツを取り出した。


「サイズは合わないだろうけどシャツはこれ着て。
ズボンは……んー。
ガッコのジャージ。
あれ、着てこいよ。」


うん、って頷いて。


急いで家に入って、リョクに言われた服に着替える。


………うちのジャージが赤だったのを僕が思い出したのは。


山の方に向かう電車が出発してからだった。
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