花は野にあるように
「ね、ねぇ。」


山行きの電車の中はまだかなり空いていて、僕達は4人掛けのボックス席をふたりで占拠して向かい合わせに座っていた。


「んー?」


おっきなリュックは網棚の上には納まらなくって、リョクの隣でひとり分の席を陣取っている。


その荷物に寄り掛かるようにして、外の風景に目をやっていたリョクは、僕の呼び掛けに少し眠そうにしながら、こっちを見た。


「うちのジャージって赤色で目立つよね?」


おずおずと問い掛けてみる。
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