花は野にあるように
「悪ィ、悪ィ。」


まだ、くくっと喉の奥で笑い声を殺しながら、目尻に涙を浮かべたリョクは、それでも手を合わせて僕に謝ってきた。


大きな背中を丸めて、そうやって手を合わせているリョクの姿はなんだかとってもユーモラスで。


「………ぷっ。
………もう、いいよ。」


僕は、むくれていたハズなのに、つい吹き出してしまった。


「………あぁ、笑ったな。
………その顔の方がいいな。」


笑った僕をみたリョクが、ふいにやわらかい笑顔を浮かべて手を伸ばし、僕の頭を優しくくしゃりと撫でた。


「お前、やっぱ笑顔のほうが良いぞ。」
< 30 / 1,416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop