花は野にあるように
「リョクはずうっと山で育ったの?」


少しリョクを遠くに思いながら僕は尋ねた。


「んー。
そうだなぁ。
チビの頃はほとんど人里に降りた事なかったなぁ。」


少し遠くの方に視線をさまよわせながら、リョクは話しはじめた。


「ばあさんが過保護でさぁ。
俺が生まれてすぐの頃は、ばあさんのトコで親子3人世話になってたらしいんだけど、オフクロは役所に24時間勤務みたいな状態だし、親父は森林保護官とレンジャーとマタギがごっちゃに……って判りにくいか。
んー。
まぁ、山にずっと入りっぱなしの生活みたいな感じだったんだよな。」
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