花は野にあるように
そう言うと、リョクは僕の頭から帽子を取り去って、さっきのポケットから、チューブのひとつを取り出し、僕のあごをつまんで自分の方へと引き寄せた。


そして中身を掌に広げて、頭だけリョクの方へ突き出したカタチの僕の首筋へと覆うように両手をあてる。


「じ、自分で出来るよっ!」


僕は慌ててそう言ったけど、リョクはダメだって、と悪戯っぽく笑って、ついっと僕の首筋を撫で上げた。


「んっ……っ!」


ぞくり、と背筋を駆け上がる感覚に、僕は思わず頭を後ろに反らして、喉元をさらしてしまう。
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