花は野にあるように
そんな僕のささやかな願いなんて知らぬげに、首の後ろも、耳のつけねも、あますことなくリョクは薬を塗りこんだ。


「ん?少し余ったか。
ミキ、手を出せよ。」


そんな風に囁かれて、僕はうっとりとしたまま素直に両手を差し出す。


その手を愛撫するみたいな手つきで、リョクは手首から、指の先。


手の平も、甲も、指の間も。


丁寧に丁寧に。


リョクの指で。


掌で。


撫でさすった。
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