花は野にあるように
「へぇー。」


そうなんだ。


またひとつ、リョクの知ってる世界の事を教えてもらえて、僕はさっきの気分を忘れたように嬉しくなった。


「熊よけのベルなんだぁ。」


リョクが、リュックの横に付けたベルを指の先で鳴らしてみながら、僕は感心していた。


そんな僕に、リョクは少し笑って言った。


「違うって。
俺が熊よけに使ってるだけで、元はアフリカのある部族に伝わってる牛の首に付けるベルなんだ。
ベルの上に付いてるリボンは手織りで、部族や家ごとに柄が違うんだ。」
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