花は野にあるように
ふうん、と納得していない感じのリョクの声が頭の上から聞こえる。


「ま、よそ見しながら歩いてつまづくなよ?
あ、それから、もう少し上がったら沢を渡るけど、おぶってあげた方が良い?」


そんな風に尋ねられて、僕はとんでもないって頭を振った。


「自分で渡れるよ。
そんな。
僕ばっかり甘やかさないでよ。」


リョクを見上げながら、そう言う僕に、リョクはそうか?って言いながら、僕の足元をじっと見た。


「その靴……んん。
まぁ、いいか。
手をつなげばいいんだしな。」
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