花は野にあるように
リョクにからかわれて、そっぽを向いていたハズだったのに、僕はリョクの指先に向かっておずおずと唇を寄せていた。


薄く開いた唇を、リョクがチョコレートで優しく撫でていく。


鼻のすぐ先に漂ってきた薫りに、たまらずに開いた僕の口へ、リョクはチョコを押し込む様にして入れてくれた。


口の中へ入れた途端に、チョコレートはトロトロにとろけて、濃いカカオの味と、甘いミルクの薫りが舌の上で渾然一体となってハーモニーを紡ぎだして。


なにこれっ!


こんな美味しいチョコなんて、生まれて初めて食べたよっ!
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