花は野にあるように
「………そんなに、美味かったんだ?」


水で濡らしたハンカチで、僕の喉元を拭いてくれながら、リョクが言う。


恥ずかしさに、物凄く熱くなっていた僕の顔の温度は、リョクのその行為のおかげで少しだけ、マシになる。


「………うん、すっごく美味しかったよ。」


それが理由だよ、きっと。


僕は自分を納得させる為にそう思うことにする。


「そ………か。
んなに、美味かったか。」


何故か、リョクまでホッとしたような声でそう言った。
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