花は野にあるように
な、なんだか変な気持ち。
きまずい雰囲気にならないように何か話さなきゃ。


「ね。
このチョコレートって、なんて名前?」


話題を探して、包装に書いてあった文字をリョクに見せながら聞いてみる。


「ん?
あ、あぁ?
え、意味……か?
“恋人からのキス”………って書いてあるけど?」


ちょっと道の先を見ていたリョクは、急に話し掛けた僕を驚いたように振り返りながら文字を読んでくれた。


でもそれは。


ちょうど僕がチョコを口に入れたトコロで。


教えてもらった意味に。


僕は顔から炎を吹き出しそうだった。
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