花は野にあるように
そして教えてもらった言葉の意味の通りに、甘くとろけたチョコレートはすうっと口の中から消えていき、僕に切ない気分を残した。


「…………。」


チョコレートひとつに翻弄されちゃう僕って……。


なんだか、僕ひとりでさっきからバタバタしている気分だよ。


そんな事を思いながら視線をリョクの方に上げると、こっちを見ているリョクと目が合った。


「“恋人からのキス”は美味かったか?」


ニヤリと笑って聞いてくる意地悪なリョクだけど。


うん。


君にキスされた時みたいに、とろけちゃうような味だったよ。
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