花は野にあるように
夏の暑い日に、ジーンズが汗で足にまとわりついて、歩きにくかった事なんかを思い出しながら、僕は一生懸命にリョクの後ろに付いて歩いた。


ペースはさっきよりも大分ゆっくりだけど、傾斜のある分きつく、僕の息はあがりっぱなしで。


「あと少しだからな、ミキ!」


リョクが振り向いて掛けてくれた言葉にも、頷くのが精一杯で、返事を返す余裕がない。


リョクの大きな掌が、そんな僕の前へと差し出されて、優しい声が上から降ってきた。


「ミキ、捕まれよ。引っ張り上げるから。」
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