花は野にあるように
「………あぁ、そうか。」


リョクは僕の表情を見て、何か腑に落ちたような顔をした。


「こんな風に笑えるくせに、教室でのお前にはそんな素振りが少しもなかったんだ。」


僕の頬に手を当てて、リョクが言う。


「いつも、こーゆう顔してる方が絶対に良い。
すっげぇ、イイ。」


そんな風に言いながら、リョクは存在感のある親指で僕の唇をなぞった。


「俺が、この表情を教室でも見たいと思ったんだよ。
怯えたハムスターみたいな表情じゃなく、な。」


言葉と共にすっと引かれてしまったリョクの手に、僕は声を出しそうになってしまった。
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