花は野にあるように
「んん?」


風に流されてしまった僕の言葉を、リョクは聞き取れなかったのか、僕の顔を覗き込むように顔を近付けてくる。


陽に焼けた精悍なリョクの笑顔は、太陽の下で見ると本当に輝いて見えて。


僕はリョクの腕の中へ顔を寄せた。


「ミキ………?」


不思議そうに声を掛けてくるリョクに、僕はリョクの胸にぎゅうっとしがみつきながら答えた。


「あんまり綺麗で、泣きそうなんだ。
お願い、しばらくこのままで居させて。」


僕のお願いの返事は、そっと僕の肩を抱き寄せたリョクの腕に込められていた。
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