花は野にあるように
「それまで、ずっと山ん中であんまり親父の仲間の山男達以外に他人と出会うこともなかった俺がさ、小学校は義務教育だからって、日本にいる間ぐらいは行けよって事になってさ。」


ゆっくりと僕の後頭部を撫でる手はそのままで、リョクは遠くを見つめたまま言葉を継ぐ。


「それまで、集団生活どころか同じ年の子供と逢ったことすらほとんどなかった俺は、女のくせに『俺』って言ってる事とか、女の子らしい行動をしてない事とかが、変な事だなんて思ってなかったんだ。」
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