花は野にあるように
その指にちょっとドキドキさせられて、僕は眉根を寄せて唇を震わせてしまう。


んもうっ!


僕のばかぁ。


ククッてリョクに喉の奥で笑われちゃって、僕の顔がカアッと熱くなる。


「真っ赤になるぐらい、美味いだろ?」


そんな意地悪をいうリョクを、上目遣いに睨みながら僕はリョクの指が口の中に押し込んでいったものをモグ、と噛んだ。


空豆のてんぷらの緑色の味が口の中に広がる。


リョク、君の名前と同じ味だね。


今、ここで食べるのにすっごくぴったりな味がするよ。
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