花は野にあるように

きっと真っ赤になっているに違いない、火照った顔を見られたくなくて、僕は覗き込んでいるリョクの視線から逃れるように俯いた。


「そ、そうなんだ？
………と、ところでさ。
リョクって、名字が大地っていうんだね。
カッコイイ名前だよね。
ダイチってさ。
なんだか、すっごくリョクにぴったりだよね。」


雨でしっとりと濡れている池のふちの地面に、リョクの名前を指で彫り込みながら僕は言った。


『大地　緑風』


地面の上に描いたネームプレートがすごく映える。


リョクにこの名前を付けた人はすごく素敵なセンスの持ち主だと思う。


すごくピッタリなんだもの。