花は野にあるように
我ながら単純だなぁと思いつつも気分の良くなった僕は、気持ち良いぐらいに空っぽになったお弁当箱を片付けて、荷物の中にしまいこむとリョクに向かって言った。


「ね、リョク。
川へ行ってみようよ。」


さっき、せせらぎの音を聞いてからずっと、うずうずしていた僕は、待ちきれない子供みたいに、急いでリュックを背負いながらリョクを急かした。


「ん。
ちょっと待てってば。
靴ひもほどけてるぞ?
ちゃあんと、結びなおして。
それから、な。」


笑いを含んだリョクの声は、でも呆れていたりはしてなさそうで。


僕はそれが嬉しかった。
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