花は野にあるように
「ミキはだーめ。」


悪戯っぽい笑みを浮かべながら、リョクは意地悪に言う。


「どうして?
リョクだけずるいよ。」


口をとがらせてリョクに詰め寄った僕は、でも。


急にガバッと起き上がったリョクの腕に腰を捕らえられていた。


「うわぁんっ!」


驚いた僕が上げた大声に、木の枝の上で身を潜めて居たらしい小さな鳥が慌てて飛び立っていく。


「こんな細い腰じゃあ、筋肉も脂肪もほとんど付いてないだろ?
山の川の水は意外と冷たいんだ。
足なんてつけてたら、あっという間に身体全体を冷やしてしまうんだぞ?」
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