花は野にあるように
そして今度は柔らかく笑いながら、そっと僕の腕をとった。


「来いよ。
気持ちいいぞ?」


自分の隣を指し示しながらリョクが言ってくれるのに、僕はまだ、とんがらせた口のままで頷いた。


「ん?
いつまでも、そんな口してると、キスするぞ?」


笑いながらリョクにそう言われて。


「ど、どうして!そうなるのさっ!」


一瞬キスを期待した自分を誤魔化すように、僕は大きな声で言ってしまった。


けど、リョクは柔らかい笑みのままで。


僕を自分の隣へと座らせただけだった。
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