花は野にあるように
「靴下脱いでさ。
素足を少しだけ川に入れてみろよ。」


リョクに言われるまま、僕は素直に赤いジャージの裾を捲りあげて、両足を川へひたしてみた。


ゾクリとするぐらい冷たい水が僕の足にまとわりつく。


足の裏までくすぐりながら、さやさやと流れていく水はあくまでも冷たく澄んでいて、目を閉じると僕の内面に積もっていた色んなモヤモヤしたものを綺麗に洗い流してくれているような気持ちになった。


「ヤな事が流れちまうような気がしねえ?」


聞こえてきたリョクの声に、僕は思わず頷いていた。
< 381 / 1,416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop