花は野にあるように
「そ、か。」


一音ずつ区切るように、答えるリョクの言葉には、すごく重く思えるような何かがあった。


「ミキにそう思ってもらえただけで、ここに来た甲斐があるってもんだよな。
誰よりミキに共感してもらえて、すっげぇ嬉しいよ。」


少し照れたみたいに言いながら、伸びて来たリョクの指が僕の前髪に絡み付いたり離したりして、もてあそぶ。


「わざわざ山まで出掛けて来てさ、ミキになぁんだってガッカリされるのが一番怖かったんだ。
喜んでもらえて、ホントに良かったよ。」
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