花は野にあるように
「ん?
どうした?」


そっと見ていたつもりだったけど、リョクは僕の視線に気がついて身体ごと僕の方に向きを変えた。


「な、なんでもないよっ!」


なんだか、正面からリョクにみつめられると急に恥ずかしくなってきて、僕は思わず視線を逸らしてしまった。


そして、先刻リョクに言われていた事を思い出して、川の中から足をあげた。


じんわりと、冷えた感覚が足先から上がってくる。


リョクに言われてなかったら、身体が冷えきってしまうまで川に入ってしまっていたかもしれないな、と思って僕は改めてリョクの事を尊敬した。
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