花は野にあるように
僕の事を正面から見つめて尋ねてくれるリョクは、僕の事を本気で心配してくれてるし、僕の意見をきちんと聞いてくれようとしている。


それが判るから、僕はきちんと考えてから口を開いた。


「違うルートから行ったとしたら、さっきのお花畑はもう見られないの?」


今から帰ろうとしていて、荷物も全部ここにあるんだから、わざわざまた向こうの尾根まで出るとは思えなくて、僕は尋ねた。


「ん。
帰るなら、降りていくからな。
あの場所まで戻ることはないな。」


案の定、リョクから返ってきた答えはそういう返事で。
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