花は野にあるように
「ミキ。
少し止まって。
あ……足場の良いとこでな。」


偶然僕の足が小さな切り株の上に乗ったのを目ざとく見つけながらリョクが言う。


息の切れている僕は言葉では返事ができずに頷くことで返答して、斜めの地面から真っ直ぐに伸びている木の幹に寄りかかるように背中を預け、浅い息を繰り返しつつリョクを見上げた。


「一気に上がってしまいたい気持ちもわかるけどな。
まだあと半分あるんだ。
少し呼吸を整えてから登った方が良いぞ。」


そう言いながら、リョクは自分のボトルの吸い口を僕の方に向けて差し出してくれる。
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