花は野にあるように
な、な、何っ!


一体何が起こったのか解らなくて。


でも、指先から伝わってくるむずがゆいような感覚と。


目を細めて、僕の指をくわえているリョクの精悍な、整った顔を間近に見て、僕は身動きも出来ないままで、固まったようになってしまった。


ちゅく、と音を立てながら、僕の指を舐めていたリョクはしばらくしてから、ようやく僕の手を解放してくれる。


ゆっくりと、リョクの唇が僕の指から離れて。


そして手を離す前にリョクは、指先に小さなキスを落とした。
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