花は野にあるように
さっき、僕が自分の水筒の中身をカラにしてしまっていたのも、リョクにはお見通しだったみたい。


僕はなかなか落ち着いてくれない息のせいでお礼の言葉も口に出来ないまま、ボトルを受け取って、その吸い口をカラカラに乾いた唇に含んだ。


吸い上げると、僕の口の中に広がったのは爽やかなレモンの香りで。


「これって………?」


コクリと飲み込んだその液体の中身を確かめたくて、僕はリョクを見た。


「ん?
薄ーい蜂蜜レモン………にしては、レモンが少し多いかな?
不味かったか?」
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