花は野にあるように
そう言われて。


初めて僕は。


リョクの腕の中にすっぽりと入っていて、抱き締められている自分に気がついた。


「え?
ど、どうして?
いつの間に?」


全く気付かないままで、すっかり抱き締められてしまっている自分の事が信じられなくて、僕は照れ隠しの分だけ過剰にリョクに怒って見せた。


「や、やだぁっ!
離してよっ!
泣いたりしてみっともないとこなんて見ないでよっ!」


そんな風に言いながら、めちゃくちゃに振り回した僕の手が、偶然にリョクの胸に当たる。
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