花は野にあるように
そして。


そのはずみで。


リョクのカウベルを止めていたリボンがふつり、と切れてしまった。


ガラ、と濁った音を小さく放ったベルは崖の下へと向かって。


空中へと飛び出してしまった。


「あっ!」


声を立てる間もなく。


離れていくそのベルを追いかけて。


僕は思わずリョクの腕の中を飛び出していた。
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