花は野にあるように
「リョクのカウベルはっ?」


勢い込んで聞いた僕を、リョクは起き上がらないようにって僕の額を指で軽く押さえた。


そして、僕の右手にそうっと触れて。


壊れやすい硝子細工でも扱っているみたいに持ち上げて、僕が見えるところまで運んでくれた。


しっかりと握りしめていたらしい僕の手の中には、リョクのあの大切なベルがちゃあんと入っていて。


「よかったぁ。」


だけとホッとして、そう言った僕にリョクは。
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