花は野にあるように
「ちっとも良くないっ!」


雷が落っこちたみたいな大きな声で、怒鳴った。


いつも僕に優しいリョクに怒鳴られるなんて初めての僕は。


ただ身体を固くして、びっくりしたままリョクを見上げているだけしか出来なくて。


「確かに、このベルは親父にもらった数少ない品物のひとつだけどさ。
ミキと引き換えにできるような価値があるわけじゃないんだ。
ミキにもしもの事があったらって思ったらたまんない気分だったよ。」


そう言うリョクの口調の重さに、僕はゴメンと言うことも出来なくて。


「………リョク………。」


ただリョクの名前を呟いただけだった。
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