花は野にあるように
「ごめんね、リョク。
とっさに飛び出しちゃって。
リョクが僕を助けてくれたんだね。」


僕の口から、謝罪の言葉がするりと出てくる。


「落ちるミキに追い付いて、
必死で抱き締めて、
下に着いた衝撃からは守れたと思ったのに。
ミキは気を失ったままで、なかなか目を開けないし、日は暮れてくるし、どうしようかと思った。」


そう言っているリョクの顔は、なんだか泣き出しそうに歪んでいて。


「ごめん。
………ごめんね、リョク。」


僕はそう言ってリョクの頬に手の平を当てた。
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