花は野にあるように
そう返事を返した僕に、リョクはさっきよりは落ち着いた声で言った。


「そ…………か。」


そして、ホッとしたようにひとつ息を吐くと。


黙り込んでしまった。





「……………リョク?」


僕は痛みを我慢して、ようやく片目を開きながらリョクの名前を呼ぶ。


すると、固く口を引き結んで少し怖いぐらいに真剣な表情で僕達の墜ちてきた崖の上を睨み据えていたリョクは、パッと僕を振り向いた。


そして、すぐそばに膝をついて僕の顔を覗き込んでくれる。
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