花は野にあるように
大柄な体つきなくせに、リョクの動きは結構機敏で、見ているうちにドンドン僕の居る場所から離れていく。


だけど、僕は気が気じゃなくて。


リョクの手元や足元から、カラリと音を立てながら剥がれた岩の破片や小石が落ちてきて、パラパラと降る度ごとに僕は、ビクリと身体を震わせてしまった。


お願いだから、無事に上まで着きますように。


この世のすべてのものに、心から願いながら僕はリョクの姿から目を離すことも出来ずに、足の痛みも意識に上らないぐらいドキドキしていた。
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