花は野にあるように
リョクの手がかかった所がグラリと動く度に、僕の心臓は跳ね上がり。


リョクの足が乗っている岩場のでっぱりが、カラ、と小石を落とす度に、僕はビクリと身体を強ばらせる。


リョクが崖の上に出るより先に、僕の神経の方が先に焼ききれてしまうんじゃないかって思うぐらいに、僕はリョクの一挙手一投足に釘付けのままで、ハラハラし通しだった。


あ、また、手元の岩がぐらついてるっ!


あ、今度は足場にしている木の根が折れそうになってるよ。


あぁっ!


もう、見ていられないよって思うのに。
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