花は野にあるように
なんだか胸がいっぱいで、言葉が出てこない僕の事をクスリ、と小さく笑って。


リョクは僕が寝かされていた時に枕代わりに置かれていた僕のリュックをクルリと丸めて小さくまとめると自分の荷物の外側に落っこちないように縛り付けた。


そして、いつの間にか崖の上から渡されていたロープの真下に、そのリュックを運んだ。


「ん、と。
荷物の忘れ物はなかったよな?」


周りを見回して言いながら、リョクの目は花畑の中を巡っていく。


そして、最後に僕の方を見ると悪戯っぽくニヤッと笑った。
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